会社の株式・資産承継と、ご家族の話

同族承継時の留意点

これまで手掛けてきた承継支援のなかで、多くの経営者の方、後継者の方と話をしてきました。そして、会社の株式・資産の承継をお手伝いするなかで、「ご家族」とも多くの対話をしてきました。

法人の株式資産承継において、「ご家族」との対話が欠かせないのはなぜか? それは、同族承継において、会社の資産の承継は、一族の資産分配の話の一部でもあるからです。これは切り離して考えるべきものではなく、事業に関わらないご家族に対して、感情面の配慮と勘定面の配慮をともに心遣いできるかどうかが成功のポイントとなります。

という話をすると、「うちの子どもたちは仲が良いから、相続で揉めることはない!」と断言される社長が結構いらっしゃいます。この仕事を10年以上していると、そうおっしゃっていた社長がお亡くなりになった後の承継支援をさせていただくことも度々あります。そのようなご家族がどうなったかというと、十中八九、揉めます。もう少し言うと、生前に「配慮」と「手当」をしていなかったご家族は、揉めています。仲が良かったのは、社長がご存命だったから。遺産分割協議で、金額の入った資料を見た瞬間に、仲の良かった兄弟・姉妹の目の色が変わる…。何組も見てきました。特にご子息・ご息女の配偶者の影響が大きいケースが多いです。

また「うちは遺言書で、会社資産は全て長男に継承すると指定しているから、揉めることはない!」とおっしゃる社長もいらっしゃいます。残念ながらこのような「遺言書至上主義」という迷信を信じている社長も多くいらっしゃいますが、遺言書は、法定相続人の全員の一致で簡単にひっくり返ります。社長の意図・意思を正確にまっすぐ通すためには、株式を含む事業用資産は一族の資産の一部である、ということを意識して、生前に適切な「配慮」と「手当」をすることが、円滑な株式・資産承継のコツになります。

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