なぜ会社を譲渡するのか? ~外部的要因~

スモールM&Aにおける売手と買手, 誰でもできるM&A

内部的要因の次に多いのが、事業を取り巻く外部の環境変化や業界の変遷に適応するためにM&Aを選択するというものです。

①法改正

法律の改正や新たな規制に対応すべくM&Aを選択するケースです。自社だけでは法律や規制の改正に適応できないと考え、積極的にM&Aを活用して、この変化を乗り越えることを目的としています。

<事例>
調剤薬局を営むL社は、薬事法の改正とともに異業種からの参入が相次ぐ業界の状況を見据えた結果、大手薬局チェーンの傘下に収まって生き残りを図った。
夫婦で保険代理店を営むY社長は、コンプライアンスの徹底を目的とした大手保険メーカーの代理店の整理・縮小政策に危機感を抱き、単店での生き残りが難しいと判断。大手保険代理店の傘下に入り事業を継続させる道を選択した。

②人材確保

人材不足は日本の企業にとって大きな問題となっています。特に飲食業はじめサービス業全般、製造業や建設業など、構造的に人材が集まりづらい業種では、単独の企業や単店舗では対処が難しくなりつつあります。そこで事業規模の利益(スケール・メリット)を重視し、数店舗で人材の共有化・ローテーションを実施することで人材難に対処すべく、M&Aを活用する例も増えています。

<事例>
都内でネイルサロンを経営するA店は、ネイリストの人材採用・確保に苦慮していた。そのため、同じく人材難で悩むネイルサロンと合同で会社を設立。地域でのドミナント戦略により、人材の流動性を高め、人材難を乗り切った。
関東で食肉卸を営むT社長は専務として働く息子への承継を考えていた。しかし業界ぐるみで人材難に苦しむ現状を積極的に打破すべく、飲食・コンサル等幅広く展開する飲食グループへ譲渡した。

このように、企業を取り巻く内部要因や外部要因でやむなく、またはその環境変化に積極的に対応すべくM&Aを選択する経営者は増えつつあります。
そしてさらに、このいずれにも当てはまらない要因でM&Aを選択する事例もあるのです。

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