なぜ会社を買うのか? ~買収の4つの理由~

スモールM&Aにおける売手と買手, 誰でもできるM&A

どのような会社が買手としてM&Aを考えているのでしょうか?
具体的な事例を通じて、「なぜ会社を買おうと考えるのか?」その動機を確認します。

債務超過会社を買収した上場企業の戦略

加藤商店(仮称)が地方の株式市場に上場したのは3年前。生き物を扱うニッチな商品に絞ってノウハウを確立し、気づけば業界トップ、その勢いで上場を果たしたのです。しかし突出するのも早ければ、市場の限界に直面するのも早いのがニッチ市場の特性です。継続的に売り上げを拡大し、株式市場で支持を受け続けるには新たな市場への参入が不可欠です。そんな加藤商店が目を付けたのが、特殊なノウハウを持つ企業の買収です。現在検討しているのは、同じ生き物を扱う業界で、そのパッケージや看板を作っている北野企画(仮称)です。この会社はパッケージを作るための特殊なノウハウを持っているにもかかわらず、営業力不足で業績が低迷。従業員5人のこの会社の財務は債務超過でもあります。

「今のウチの営業力があれば、このパッケージや看板で利益が拡大できる」

同じニッチ市場で上場を果たした加藤社長は、綿密な市場調査と買収先への監査の末、北野企画を2000万円の債務ごと引き受けることにしました。

買収の4つの動機

実は現在、多くの会社が加藤商店のように買い手としてM&Aを考えています。買い手の規模は上場企業の場合もあれば、数人で経営している零細企業の場合もあります。われわれは仕事柄毎日多くの経営者とお会いしますが、ほとんどの経営者がわれわれの名刺を見るなり「良い会社(譲渡企業)があれば譲り受けたい」と言ってこられるのです。誤解を恐れずに言うなら「今、業績の良い会社で会社の買収を考えない会社はない」とさえ思えます。

彼らが会社を買う理由はおおむね以下の点が挙げられます。

理由1:早期に売り上げを確保する為

市場の縮小やスイッチングコストの高さから、営業マンの努力だけでは売り上げを上げるのが難しい業種も存在します。買収によって、他社の売り上げや顧客、販売チャネルを引き継ぎ、早期の売り上げアップを図ろうとするケースです。

<事例>
関東でビルメンテナンスを展開するK社は、関西での早期の売り上げ拡大を図るため、関西の中小ビルメンテナンス会社3社を同時に買収し、関西への進出に成功した。

理由2:新規事業、新商品、サービスのため

他社の持つ、新規事業、商品、サービスを取り込むことによって、開発期間や開発コストなどを削減するために買収を実施するケースです。

<事例>
建設業を営むJ社は資金繰り改善のため、飲食店の出店を検討。地元で根強い人気があるにもかかわらず後継者難で閉店していたラーメン店R社3店舗を買収した。

理由3:人材を確保する為

人材不足に対処するため、採用ではなく他社を買収することによって人材を一気に確保するケースです。

<事例>
電気設備業を営むH社は資格者の確保を図るため、一級電気技師5人を有するV社を債務超過にもかかわらず買収することにした。

理由4:許認可や信用を確保する為

会社の持つ許認可や資格を引き継ぐことを目的として買収を行うケースです。

<事例>
関西で酒類卸業を展開するF社は、卸免許とメーカーの特約店契約を引き継ぐことを目的として、北陸で業績不振に苦しむB社を買収した。

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