なぜ会社を譲渡するのか?
譲渡する理由
M&Aとは、企業のMerger(合併)and Acquisition(買収)の略です。
かつて日本では、オーナーにとってある意味「第二の家庭」ともいえる会社を金銭で買収したり合併したりすることにネガティブなイメージを持つ方も多くいらっしゃいました。しかし後継者難に悩む中小企業経営者の多くが、M&Aによる親族外承継を採り入れる現在、従来の「ハゲタカ」というネガティブなイメージは薄れかけています。
それどころか、最近では会社の課題を解決し、新たな発展につなげる有効な手法としてM&Aをポジティブに採り入れる経営者も増えているのです。
会社も経営者も十人十色であり、二つとして同じものはありません。同じように、会社を譲渡する理由も様々です。とはいえ多くのケースを俯瞰してみると、M&Aを選択する動機はいくつかのパターンに分けることができます。
経営者がM&Aによる譲渡を選択するのは多くの場合、以下に述べる3つの理由に集約されます
理由1 内部的要因
会社内部の要因によって、譲渡を選択するケースは最も多いパターンと言えます。内部といっても要因は様々ですが、概ね以下のようなものが挙げられます。
- 後継者不在
- 経営の不振
- 事業の選択と集中
- 経営者の体調不良
理由2 外部的要因
内部的要因の次に多いのが、事業を取り巻く外部の環境変化や業界の変遷に適応するためにM&Aを選択するというものです。
- 法律、規制の改正
- 人材難
- 業界、市場の競争激化
- 市場の成長鈍化
- 訴訟、トラブル
理由3 経営者の価値観の変化など
実は、社長自身の価値観が変わったことがきっかけとなることもあります。次のようなものが理由として挙げられます。
- その事業に飽きた
- 他のことがやりたくなった
- 社長業が向いていなかった
- 海外でのんびりしたい
- 人生観が変わった
- IPO(株式上場)が面倒になった
- 家族(女性)を優先したい
「なぜ会社を譲渡するのか?」その理由について、その概要を見てきました。
次回は、これらの理由について、事例を交えながら説明していきます。