従来の事業承継モデルの破綻
過去、中小企業の事業承継の相手は
- 親族内承継 ~ 息子や娘、娘婿への承継
- 社内承継 ~ 役員や従業員への承継
というものでした。
主流は1の「親族内承継」でしたが、少子化の波が押し寄せる現在、継がせるべき息子や娘がいない会社は珍しくありません。
さらに親族内承継を難しくしているのが、本塩社長のように「継がせたくない」という親心です。高度成長期の右肩上がりの時代ならともかく、多くの中小企業が赤字や債務に苦しむなか、息子に経営や借金の肩代わりをさせたくないと考える経営者は少なくないのです。
また、2の「社内承継」も簡単ではありません。中小企業においては、役員といっても経済的にもマインド的にもサラリーマンの延長であるケースが多いのです。引き継ぐべき会社が業績好調な会社の場合は、株式の買取資金が数億円に上ることも珍しくありません。個人で多額の株式の買取資金を捻出するのは容易ではないのです。逆に業績が低迷している会社の場合は多くの負債を抱えており、後継者は会社とともにその債務保証をも引き継ぐことが要求されるのです。引き継ぎを快く受け入れていた専務の奥様が「うちの主人を破産させるつもりですか!」と怒鳴り込んできたなんて話もあります。
このように親族内承継や社内承継が難しくなった今、後継者対策として国や経済界が最も注目しているのが第三の手法、
親族外承継=M&Aによる外部承継
なのです。
後継者不在の中小企業の割合は66.7%といわれ3社に1社しか後継者がいないなか、「親族外承継=M&Aによる外部承継」で会社の存続を考えるのは、ある意味当然かもしれません。