誰が赤字会社を買うのか?

M&Aの実務, 誰でもできるM&A

前回のコラムでは赤字企業・債務超過の企業がM&Aに成功した事例を紹介しました。
では、いったい誰が赤字企業を買うのでしょうか?

誰が赤字会社を買うのか

赤字の債務超過会社が譲渡された例をいくつか挙げます。

① 酒類卸会社の買収

(買い手:酒類卸会社 売り手:酒類卸会社 営業権:酒類卸免許・特約店資格・販売網)
・東日本で酒類卸業を営むA社は九州の同業者B社を買収した。B社の酒類卸免許や有名メーカーの特約店資格、加えて地域に根差した販売網の獲得を目的としていた。

② 美容教室の買収

(買い手:カウンセラー養成学校 売り手:美容教室 営業権:会員組織・美容教室ノウハウ)
・カウンセラー養成学校を営むK社は、数百人の女性会員を有する美容教室の運営会社を買収した。会員拡大と新商品開発を課題とするK社は、互いの組織と商品によるシナジーを目的としていた。

③ 豆腐店の買収

(買い手:ECサイト運営会社 売り手:豆腐店 営業権:大正から続く業歴・豆腐スイーツ)
・ECサイトを展開するG社は、大正時代からの歴史を持つ豆腐製造店R店を買収した。G社は、R店が築き上げた歴史による自社のバリューアップと、同店の持つ豆腐を使った健康スイーツを自社サイトにて販売することを目的とした。

④ ビルメンテナンス会社の買収

(買い手:ビルメンテナンス会社 売り手:ビルメンテナンス会社 営業権:顧客・人材)
・九州のビルメンテナンス会社D社は関東の同業者P社を買収した。新規開拓の難しい業界でP社の持つ顧客もさることながら、社員・資産を引き継ぎ関東進出を早期に達成することを目的とした。

このように、決算書に表れない「見えない資産」が高値に判定されて譲渡がまとまった債務超過・赤字会社はたくさん存在します。買い手が譲渡企業に魅力を感じるのは、むしろ人材、技術、歴史といった見えざる資産にあるといってよいでしょう。

見えない資産の棚卸しがポイント

「見えない営業権」は時には大きな価値を生み、譲渡金額を左右します。しかし多くの経営者は、自分の会社にそんな資産があることに気付いてはいません。

宮近工業は、たまたま金融機関のアドバイスで、この「資産」に気付き譲渡に成功しましたが、「宝の山」の存在に気付かず、廃業したり低い金額で譲渡されたりしている例は多々あります。それは売り手にとっても買い手にとっても、また社会にとっても大きな損失といえます。
引退を考える経営者の皆様は廃業や安易な譲渡を選択する前に、ぜひ自社の「見えない資産」の棚卸しをしてみてください。そこに驚くような「お宝」が発見できるかもしれません。

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